いつも恋バナの話の中で、自分は枠外と思っていた。
職場の社内恋愛の盛り上がりは、いつものこと。
そしてまた、1組のカップルができる。
昼はこんな飲食店(森永グループ)で働き、夜は母親が経営している飲み屋を手伝う。
2件あったので、そこを行ったり来たり。
生活の環境のストレスと好奇心でコスプレして出勤していた。
基本、接客はせずウェイター感覚でメイドだったり執事だったり、身内だからこそ出来る自由。



ホステスたちは、比較的年齢が高く、年齢の差があってやりやすい。
自分は本当はあまり人の付き合いが好きではない。
仕事の連続で友達は数人。
いつものように2件目のスナックに顔を出す。
1人のお姉さんからこんなことを言われた。
「実はねー、ともちゃん(私)に紹介したい人がいるの。
なんか変わっている人で機械が大好きなのよ。
パソコンとか、そんなのばっかりやって。
きっと話しが合うと思う。」
なかなか忙しい人のようで、月に1度会えるくらいで電話にも出てくれない、と言っていた。
確か23時頃だったと思う。
スケジュールも変わっていて、夜中に比較的電話に出るというので、電話をかけてもらった。
なかなか電話に出ないとか。
今日は出るのだろうか・・。
あ、電話に出た。
来てくれるんだー。
こんな自分だけど。
別にいいか、そんなの。
本当はそんな異性に興味もなく、友達としても興味無かったが、パソコン好きと聞いて少し心が動いた。
自分は早朝の清掃の仕事をしている。
そんなには居れないので、0時までに来なかったら帰ろうと思った。
どんな人だろう、そろそろ0時だ。
もう帰らなくては。
「もう少し待ってて、今来るよ。そんな家は遠くない。」
明日、早いんだよー。
4時には起きなきゃ。
0時過ぎたころ、カランとドアが開いた。
ラフな普通の男性だ。
「待ってたよ、さっき電話で話した、ともちゃんだよ。
彼は清ちゃん。
きっと話し、合うよ。」
彼はカウンターに座り、背負っていたリュックからパソコンを取り出した。
自分の周りでパソコンを扱える人が誰一人いなかったので、この光景は本当に感激した。
自分以外にパソコンを使う人がいるなんて。
「誰もパソコンを使う人がいなかったので嬉しい。」
「そうなの?毎日パソコン使っているよ。」
「え、どんな仕事? パソコン使ってるの?」
「まぁ、そうだね。」
メールは、あまりしなくて返事も少ないことを聞いていた。
「メール?」
「面倒くさいから。」
「でも、返すよ。」
「毎日?」
「いいよ。」
いつもメールしない人が、メールするかなぁ。
たくさん話を聞いてみたい。
ちょっとドキドキした。
何年ぶりだろう。
とにかく、翌日は仕事が早いので30分ほどで席を離れた。
翌日、昨日のお礼をメールに送った。
すると返事が返ってきた。
お、メールあまりしないと言っていたのに。
彼の仕事は日程が複雑で、3日仕事で3日休み。
システム管理で大変らしい。
なんだかとても、話が合った。
本当に話がおもしろい。
39歳、暑い夏の夜、8月31日の出来事だった。
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